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ProjectStoryプロジェクトストーリー

vol.1

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Outline

プロジェクト概要

近年注目を浴びる「脱炭素」。カーボンニュートラル実現に向け、火力発電所では石炭にバイオマス由来の燃料を混ぜて燃やす混焼の取り組みが盛んに行われている。
とある火力発電所内でバイオマス燃料搬送設備の話が上がった。木質ペレット等のバイオマス燃料の搬送設備は、多くの実績を積み重ねる当社の得意分野だが、本案件が今までと違ったのはその規模だ。多くても20台の納品が最大だった中で、本案件は50台と通常の倍以上。コンベヤのみの売上で過去最高額を叩き出したこの大型案件について、プロジェクトの立役者である営業の竹田、技術の中澤に話を聞いた。

Member

プロジェクトメンバー

営業本部 東京営業部 東京営業グループ

竹田 怜(技術営業職)

/2007年入社

プロジェクトでの役割

営業として案件の引き合いに始まり、見積作成から受注後の進捗管理までを担当。クライアントの要望に応えるべく、プロジェクトチーム全体の調整に尽力した。

技術生産本部 技術部 システム3グループ

中澤 伸哉(機械設計職)

/20011年入社

プロジェクトでの役割

設計部門の主担当として、コンベヤの設計・試作検証・試運転に携わる。設計者として図面出しを行うだけでなく、製造やメンテナンスなどプロジェクト全体に目を行き届かせた。

50台ものコンベヤ設備を成功に導く

最強のプロジェクトチーム体制

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プロジェクトが立ち上がったのは、その受注規模の大きさ所以だ。設計だけでなく、工場での負荷調整などトータルで動く必要があり、いつも以上のチームワークが求められた。品質保証、製造、調達、生産管理、外注と様々な部門から、総勢20名ほどのメンバーが招集される中、設計の中澤は、
「最初の見積提出から1年以上かけての受注でした。受注前から社内での注目度も高く、決まった時はさぁやってやるぞ!と気合が入りましたね」と、当時の気持ちを振り返る。また営業の竹田も、
「一人で回すことは不可能な大型案件。助けてくれる人がどれだけいるのか不安でしたが、プロジェクトが立ち上がり、最終的にプロジェクトメンバーもそうでない人も、多くの部署が協力してくれました」と周囲への感謝を述べる。
製品力や柔軟な対応力など、顧客から椿本バルクシステムへの信頼は厚い。大きな期待を背負いながら、チーム一丸となるプロジェクトは動き出したのである。

ミスを極力引き起こさないための

徹底した進捗管理と情報共有

本案件の課題の一つにまず、50台というボリューム面がある。必要な部品の量も膨大になるため、調達部門はかなり奔走したという。
「国内で潤滑油が不足するタイミングと重なり、いつも取引のある商社だけでは必要な量を確保できない事態が発生しました。他の業者にも声をかけて何とか納期ギリギリで形になったのですが、とにかく全てにおいて量が多い(苦笑)。全コンベヤの構成部品を抽出し、それぞれに対し最適な生産計画を立てて進めていました」
また、製作するのは「FCフローコンベヤ」「NBKバケットエレベータ」「2方向ゲート(コンベヤの付帯設備)」の3種だったが、50台それぞれに細かな違いがあり、どれ一つ同じものはない。50台分全ての計画をグラフ化し、設計と製作の進捗報告を毎週実施した。工場へは頻繁に足を運んで協力を仰ぎ、ミスが出ないよう心掛けた。
「こまめにミーティングを行ったおかげで、起こった事象だけでなく、これから起こりそうな事象まで共有することができました。誰が何をすべきか、という決定も毎回早かったですね」

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設計・製造・メンテナンス

部門の枠を超え、発電所での試運転の行方を見守る

もう一つの課題はサイズ面だ。同じ機種であってもサイズが大きくなると構造から変更しなければならない。中澤は試作機を製作し、何度も検証を重ねて仕様を固めていった。
「ただ単純にサイズを大きくするだけでは、強度が落ちたり動きが悪くなったりします。例えば、燃料を貯蔵するサイロ上部に使用するコンベヤでは、搬送量を上げ且つ、スムーズな動きを実現するため通常の1連ではなく2連チェーン使用の構造に設計し直し、コンベヤを囲うケースの強度も3DCADで解析し、チェックをしていきました。また、設計として図面を描くだけでなく、据え付けにも幅広く関わりながら製品の完成度を上げていきましたね。中でもパケットエレベータのベルトエンドレス(ベルトのつなぎ込み部分)はその大きさゆえに参考になるようなものがなく、本当に上手くいくのかプレッシャーでした」
そんな試行錯誤の製作期間を経て、過去類を見ない50台もの大型設備は、大きなトラブルなく無事納入が完了。試運転が開始予定である。

失敗も成功も全て糧に

挑戦こそが私たちの財産

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椿本バルクシステムには、大企業にはないフットワークの軽さや裁量の大きさがある。また、何か起こった時に問題と真正面から向き合い、チーム一丸となって解決する文化が根付いている。今回のプロジェクトを経験し、竹田も顧客や社内と真摯に話をすることの大切さを改めて感じたという。
「最初は無理難題に思えた顧客からの要望や社内の意見も、それぞれの立場や目的を理解すると最適なゴールに辿り着くことができます。歩み寄るところは歩み寄り、できないことはできないと正直に伝える。本音で付き合えば、協力し合えるいい関係性が必ず築けると思いますよ」

本案件を通し、大型案件の作業効率や機器の大型化の際の検証データ等、多くを得ることができた。この知見は会社の成長を支える大きな財産となっていくだろう。次の大型案件に向け、準備は万全だ。