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ProjectStoryプロジェクトストーリー

vol.2

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Outline

プロジェクト概要

鉱物資源が多く産出されるインドネシア。銅を精錬する工程では、様々な粉体を添加剤として利用し、その過程で粉体を液体に変換する設備が必要となる。粉粒体に特化したコンベヤ製品を扱う椿本バルクシステムがその主たる領域を超え、銅精錬所内の、流体(水)を含む貯留設備に挑戦したのが今回のプロジェクトだ。
数ある海外プロジェクトにおいて、粉体搬送以外の設備を含んだこれほど大掛かりな案件は過去にない。長きに渡るプロジェクトの全貌を追った。

Member

プロジェクトメンバー

海外本部 海外部 海外営業グループ

中川 宙志(技術営業職)

/2003年入社

プロジェクトでの役割

顧客やエンドユーザー、協力会社など多くの人が関わる中で、契約納期通りに進めていくためのプロジェクト全体の管理を担った。

流体搬送設備へのチャレンジは

飛躍するための大きな決断

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海外志向は昔から持っていたという中川。入社時にはすでに海外営業のビジョンは描いていたという。国内で営業経験を10年積んだ後、2013年から海外営業部に配属になり、インドネシア駐在も3年経験した。コロナ禍で日本に帰国し活動していた2022年2月頃、懇意のクライアントの案件を失注したのが、今回のプロジェクトが始まるきっかけだった。
「失注に落ち込んでいた私を見てクライアントの担当者が、貯留設備まるっと一式の案件ならあるがやってみないか、と声をかけてくださって。当社の主要製品は粉粒体のコンベヤなので流体の制御を組み合わせた設備は初めて。スクリューコンベヤやエアーでの搬送装置、サイロそのものの設計・製作、制御システム等も含めた提案は前例がありません。普段なら断るような案件でした(苦笑)」
しかし、中川はGOを決めた。同じことをやっていては成長は見込めない。自分としても、会社としても大きな一歩を踏み出すチャンスになると、その可能性に賭けたのだ。

キーとなる協力会社探し

コンベヤ以外の付加価値をどう提供できるか

本プロジェクトの最大の課題は、本業のコンベヤ以外の部分をどうするかということだ。確かな知見を持った信頼できる協力会社の存在が不可欠だったが、納品先がインドネシアであるため、現地で製作できる企業を見つける必要があった。
「駐在時代にたまたま知っていたインドネシアの企業があり、声をかけてみたんです。海外企業はできるかできないかの返事はハッキリしています。こちらの要望を伝えて、イエスと力強い返事をもらった際は嬉しかったですね」
こうして、エンドユーザー、発注元企業、そして現地インドネシアの協力企業と、6カ国を超える様々な国籍の人と企業が携わる、世界基準のプロジェクトがスタートした。会議の共通言語は全て英語だが、できる限り簡単な単語や表現を使い、それでも認識にズレが起きている可能性がある場合には図を駆使して、共通認識を深めていくとともに、各々のバックグラウンドを理解した上でコミュニケーションを図るのが重要だったという。

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世界基準のプロジェクト

多国籍なメンバーと渡り合う難しさ

「日本人であれば察することができることでも、国や文化が違えば細かなニュアンスまで伝わりません。10年以上海外業務に携わり慣れているつもりでしたが、どんなことでもまずは言葉にして意見を言い合い、皆で作り上げていくスタイルが世界基準なのだと改めて勉強になりました」
一つひとつに向き合い、恐れずに問題を潰していくしかないという原点のコミュニケーションを学んだ中川は、図面の間違いや納品物が見当たらないなど数々のトラブル話も、今は笑顔で話す。
またプロジェクトが大掛かりなほど、ともに課題をクリアできた喜びも大きい。粉体を液体に変換、制御する機械は、協力会社に何度も確認して完成させた。
「机上の計算では成立していても、実際の起動試験で上手くいくとは限らず・・。濃度を規定値にするのにトライアンドエラーを繰り返しました。出荷前のテストで成功した瞬間が一番面白かったですね!」

顧客の課題解決のために何が必要か

向き合い続ける姿勢こそがつばきブランド

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つばきブランドは業界でもアフターサービスの評価が高いのだが、そこには常に顧客の困りごとに真摯に向き合うという文化がある。実際プロジェクト期間中も対面でのコミュニケーションを大事と考え、中川は月当たり2週間のインドネシア出張を会社から許可されていた。
現在、一連の設備は納品がスタートし、順次据え付けが進んでいる状況だ。
「据付完了予定を前に、今はよくやったなぁとホッとする気持ち半分、これから始まる試運転にドキドキしますね」と話す中川だが、ここまで大きなトラブルなくプロジェクトが進んだという結果は、椿本バルクシステムの挑戦の歴史において大きな成果と言えるだろう。

「いつか月の資源探索や開発を目的とした粉粒体設備を納品したいんです」と夢を語る中川。挑戦を積み重ねた先で、その夢が現実となる日はそう遠くないかもしれない。